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「詩的な社会運動」のあり方を探して アーティスト森栄喜さん、私的な写真に「旗」を重ねた新作の意図は

2025-12-02 HaiPress

広がる経済格差や差別など大きな社会問題を前に、自分なりの「社会運動」をどう続けるか。作品づくりを通してアーティスト森栄喜さんは探求している。声高にスローガンを叫べなくても、数の力がなくても、静かに「旗」を掲げ続ける。そんな思いを新作に込めた。(押川恵理子)

贈られた花々のあるリビングでたたずむ男性が被写体の作品=森栄喜〈Moonbow Flags〉シリーズより《Untitled》2025年 C Print 21×32 cm ©Eiki Mori,courtesy the artist and KEN NAKAHASHI

◆作品の根底に流れる体験

森さんは同性の恋人や友人との親密な関係性や、家族の在り方を探求する写真作品などを発表。写真界の芥川賞ともいわれる木村伊兵衛写真賞を受賞した。新宿区で開催中の個展では、私的な場で撮った肖像写真に、国家や権威を象徴する「旗」を思わせる図形を組み合わせた新作が並ぶ。

自転車で走る少年たちの写真に三色旗を思わせる図形を重ねた作品=森栄喜〈Moonbow Flags〉シリーズより《Untitled》2025年 C Print 21×32 cm ©Eiki Mori,courtesy the artist and KEN NAKAHASHI

自転車に乗った少年たちが横断歩道を走る瞬間を捉えた作品は、数年前に帰省した金沢市内で母親の運転する車が停車した際に助手席から撮った。その写真に三色旗をイメージした図形を重ねることで、少年たち、撮影する森さん、森さんを見る母親という3者のまなざしを強調したという。

新作について「名もなき何かを照らし出す作品群」と話す森栄喜さん=新宿区で

森さんは同性愛を公言しているが、高校生まで暮らした故郷の金沢では誰にも言わなかった。「小さな頃から話し方などが女の子みたいとからかわれていたけれど、母から注意されたことはなかった」と振り返る。「母も、社会と同じまなざしだったら、とても苦しかったと思う」。母親のまなざしに自分が...

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