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おやじ3人がジャズ喫茶挑戦 国立「Cafe Sings」 著名評論家から店引き継ぐ 70代「年金暮らしでも面白いことを」

2024-11-03 HaiPress

「カフェ・シングス」の店内に座る(左から)中村さん、遮那さん、馬場さん=いずれも国立市で

著名なジャズ評論家がオーナーで、いったん閉店した東京都国立市東4のジャズ喫茶「Cafe Sings(カフェ・シングス)」を70代の男性3人が引き継ぎ、再開した。飲食店の経営に縁はなく、ジャズの専門家でもないが「年金暮らしでも、何かやらなきゃ面白くない」と挑戦。一部のジャズファンにはよく知られていた以前の店に、3人の個性をブレンドし「カフェとおやじとジャズとバー」をうたう。(宮本隆康)

再開し経営するのは、民放の海外支局に勤めた中村春男さん(71)と、テレビ制作会社で人気番組を担当していた遮那正策(しゃなしょうさく)さん(71)、地方自治体で環境問題に取り組んでいた馬場康夫さん(72)。同学年の3人は、全員が多摩地域出身で今も住む。親戚や高校の同級生同士で、50年来の付き合いになる。

定年後の再就職先を退職するなど、年金暮らしになった5年ほど前。以前から「年を取ったら、何か面白いことを」と話し合っていた3人は、ジャズ喫茶を開こうと思い立った。物件を探していて、カフェ・シングスの閉店を聞き付けた。

「カフェ・シングス」の外観

新型コロナウイルス禍のあおりもあり昨年夏に閉じた店のオーナーは、雑誌の執筆やラジオ出演をしていたジャズ評論家の武田清一さん(74)。ロック歌手の故忌野清志郎さんもメンバーだったフォークグループ「日暮し」で、ボーカリストをした経歴も持つ。

3人は武田さんに「店を借り受けたい」と願い出た。建物のほか店の名前やスピーカー、ピアノ、照明器具を、そのまま使うことを認めてもらった。合同会社を設立し今年5月、店を再開した。

テーブルやいすの購入など、想定より初期投資にかかったが「夢のため。競馬に賭けたとでも思えばいい」と割り切った。店は広さ18坪。ジャズを流しながら昼はカフェ、夜はバーとして営業する。調理も学び、3人が交代でカウンターに立つ。

客から「あんたたち70歳を過ぎたのに、よくやってるね。偉いね」と、半ばあきれながら感心されたことも。3人は「勢いだけでやっちゃった」「面白さもあり、しんどさもある」「1人だったら計算して絶対やらないけど、3人なら痛手も3分の1で済む」と冗談めかして語る。

ジャズを流すだけでなく、駅前で演奏していた外国人を連れてきてライブをしてもらったり、落語会を開いたりしている。中村さんは「絵画の展示や朗読会などにも使ってもらい、地域の憩いの場になったら、うれしい。もうけを目指さないことは3人で決めているから」と笑った。


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