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選挙公報で前教育長を批判した堀切稔仁区議に渋谷区議会が問責決議 「萎縮につながる」と区議側は反発

2024-09-20 HaiPress

東京都渋谷区議会は19日、堀切稔仁(ねんじん)区議(55)=立憲・国民渋谷議員団=に対する問責決議案を可決した。区の五十嵐俊子前教育長について、かつていじめを黙認したなどと選挙公報や交流サイト(SNS)に書き「事実と異なる情報を取り上げ、職員への批判を繰り返した」との理由だった。

◆長谷部健区長が区議長に「厳正な対処」要求

決議は五十嵐前教育長を任命した長谷部健区長が、丸山高司区議長に厳正な対処を求めたことが発端で、堀切区議と会派は「議会の独立性を損なう」と反発している。

渋谷区役所

五十嵐前教育長は東京都町田市の小学校長を経て2021年4月、区教育長に就任。校長在任中の20年11月、在学する小学6年児童がいじめを訴えるメモを残して自死した。

堀切区議は4選した昨年の区議選で、選挙公報に「前職でいじめを黙殺した教育長を交代させます」と記載。SNSでも五十嵐前教育長が「いじめ問題を放置した」などと投稿した。

◆いじめを認定したが、学校側の違法・不当認めず

町田市の第三者委員会は今年2月、いじめの存在を認定する一方で、児童の死亡に他の要因もあったとする再調査報告書を公表。「安全安心な学校経営ができていたら、自死を防げた可能性がある」としながら、学校側に違法・不当な点は確認できなかったとした。

報告書を受けて長谷部区長は8月「根拠のない情報を広め、人権侵害等の事態を惹起(じゃっき)した」として、区議長宛てに堀切区議への厳正な対処を求める要望書を提出。区議会の4会派の幹事長が問責決議案を提案し19日、賛成19、反対9の賛成多数で可決された。

◆堀切区議「関係者に聞いた事実に基づく発言だ」

長谷部区長は「区議会の賢明な判断を尊重する」とのコメントを発表。一方、堀切区議は「遺族の関係者や弁護士にも話を聞いた事実に基づく発言なので、不当としか言いようがない。議員の萎縮にもつながる」と話した。

大正大の江藤俊昭教授(地方自治)は区長が議会に対応を求めたことについて「教育長の任命権者は区長であり、あまりにも事実が逸脱している場合などは、あり得る」と指摘。一方で前教育長の校長在任時の児童の自殺について、任命時に区長側が区議会に伝えていなかったのは「モラル的に問題があったのではないか」と述べた。(浜崎陽介)

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